東京大学‐プリンストン大学 合同プログラム「環境と持続可能性」開催報告

UTokyo – Princeton Joint Program 2

東京大学とプリンストン大学が合同で、「環境と持続可能性」をテーマとしたウィンタープログラムを実施した。東京大学からは国際総合力認定制度の認定を受けた5名の学部学生が、プリンストン大学からは4名の学部学生が参加し、持続可能性に関連したテーマについて学習した。プログラム初日は、本学の矢口 祐人 教授と下山田 翔 特任助教によるオリエンテーションが実施された。2日目以降は異なるフィールドで活躍する以下の専門家が、気候正義、原子力エネルギー、パフォーミングアート、SDGs、人口統計学などについて講義を行った。

  • 眞鍋 淑郎(プリンストン大学 上級気象研究員)
  • 佐藤 仁(東京大学 教授)
  • グレゴリー・ヤツコ(プリンストン大学 講師)
  • カレン・シマカワ(ニューヨーク大学 准教授)
  • 市川 小百合(国際連合日本代表部 一等書記官)

 2021年にノーベル物理学賞を受賞された眞鍋 淑郎 先生のお話は、学生に多くの刺激を与えた。ノーベル賞を受賞するに至った気象モデリングの研究についてわかりやすく説明してくださり、「自分が興味を持ったことに熱心に取り組み続けるように」と、学生にメッセージをくださった。学生は眞鍋先生に対して、気候変動やこれまでに直面した困難、そしてプリンストン大学での研究生活などについて質問した。

UTokyo – Princeton Joint Program 1

UTokyo – Princeton Joint Program 2

プログラム2日目の夜には映画上映会を実施し、新海 誠 監督作品である「天気の子」を鑑賞した。作中で描写される異常気象によって水没した東京や日本の文化について、学生間で多くの感想や意見が交わされた。

UTokyo – Princeton

さらに、両大学の学生はニューヨーク市内の博物館や美術館を共に見学し、食事を一緒にとることで親睦を深めた。

3月17日にはニューヨークを後にし、ラトガース大学を訪問した。ラトガース大学准教授若林 晴子 先生の講義を聞き、19世紀に同大学で学んだ日下部 太郎 氏をはじめとする日本人留学生と、彼らが直面した困難、当時の学生生活について学んだ。講義の後は、大学近くにある墓地を訪問し、日本へ帰国することなく亡くなった当時の留学生を慰霊した。

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ラトガース大学での学習を終えた後にプリンストンへと移動した。3月18日にはプリンストン大学社会学部ジェームス・レイモ教授の講義を聞き、人口統計のモデリングや日本が直面する高齢化社会について学んだ。日本の人口減少と少子高齢化は喫緊の課題であり、学生からは多くの質問や意見が挙げられた。

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レイモ教授の講義の後は、プリンストン大学の大学院(大気海洋研究プログラム)で学ぶ本学卒業生の広瀬 凜 さんがプレゼンテーションを行い、自身の研究内容とプリンストンでの学生生活を紹介した。

多岐にわたるテーマについて共に学び、共に活動に取り組んだことで、両大学からの参加学生は友好関係を築くことができた。学生は持続可能性についての理解を深めたのみならず、お互いの違いを認め合い、交流をすることで自身が“当たり前”だと思っていた自文化の特徴に疑問を投げかけることができた。本プログラムが、東京大学とプリンストン大学の教育パートナーシップのモデルケースとなることに期待する。